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たえちゃん★ひいひい人生★

まいにちを清々しく穏やかにすごしていきたい♪

シリーズ2 短編小説1-6

6話 アルコール依存症 

佳奈は、ようやく気がついた。

フレデリックは、アルコール依存症、つまりアル中だということに!

佳奈の父親もお酒が好きで良く飲んでいるから、

この世に、アル中という病気が存在するなんて、思ったこともなかった。

お酒が大好きな人もいれば、そうでもない人もいる、

そして、お酒が強い人もいれば弱い人もいる、

顔が赤くなる人もいれば、白くなる人もいる、

酒癖が悪い人もいれば、笑い上戸になる人もいる。

でも、

「昨日は、飲みすぎちゃったな。今日はやめとこう」 と思えば、

誰もが、飲まないでいられるものだと、佳奈は簡単に考えていた。

 

ところが、本には、

アルコール依存症の人は、それができない、と書かれている。

お酒の飲み方、つまり、飲む量、飲むタイミング、飲む状況を自分でコントロールできないというのだ。

脳に異常が起きているので、飲むのが良くないとわかっていても飲むことをやめられない、というのだ。

「脳に異常が起きている?」 佳奈は愕然とした。

 

更に、読み進めていくと、

アルコール依存症の人は、しっかりと病院で直さない限り、治らないこと。

自分で決断して断つなんてことは、よほどの人でさえ、難しいこと。

あるいは、そういった”断酒の会”に参加すること。

そうでないと、”少しだけの量”のはずが、”もう少しなら大丈夫”、に変わっていき、

結局は”飲み過ぎ”てしまうそうだ。

 

彼は、毎日ウォッカを1瓶、空にしていた。

720mlのウォッカ、一瓶!

それも始めは、わからなかった。

彼はコーラで隠していたように、何もかもずるがしこく隠すのが得意だった。

だから、佳奈は気がつかなかったのだ。

 

お金は、なくなるわ、彼の物忘れは、ひどくなるわ、先が思いやられた。

肝臓のことも心配だった。

見るからに、スポーツマンタイプの立派な体つきをしていたが、

肝臓は外から見えるものではないから、わからない。

 

そこで、佳奈は何とか、ウォッカの瓶の半分でやめて欲しい、と思うようになった。

勿論話し合いもした。お酒を飲んでない時は、本当に良い人だった。

「佳奈がそういうなら、そうするよ。毎日半分だけでやめるよ」って約束してくれた。

 

でも、実際、お酒を途中で止めさせようとすると、暴れ出すようになった。

ある時なんか、佳奈は、恐ろしくなって、トイレに駆け込んだ。

そして、彼が寝るまで、じっとトイレで息をひそめて耐えていた。

その時間の長いこと、彼は本当に、ある意味、強かった。

そして、その”ある時”が、”頻繁に起こる” ようになった。

佳奈は、満杯に充電しておいたスマホ、イヤホン、そしてノートとペンを、いつでもトイレに持ち込めるように肌身離さず、持っていた。

 

ウォッカの量を見て、半分を超えるようになったら、もうそろそろだな、と覚悟するのだった。

惨めで嫌だったけれど、レストランの仕事も順調だったし、嫌だと言って帰国する気にはなれなかった。

そうして、フレデリックの酒に我慢する日が連日、延々と続いた。

 

「バカだな、バカだな」 と思ったところで、何の解決策も見当たらなかった。

”断酒の会”に参加して欲しいと、いくら言ったところで、一向に行く気配はなかった。

 

そこで、佳奈は、ある手段に出た。

 

 

 

 

 

 

 

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