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たえちゃん★ひいひい人生★

まいにちを清々しく穏やかにすごしていきたい♪

シリーズ2 短編小説1-2

そのイケメンの彼が、佳奈が座っていたベンチを指さし、「隣に腰かけても良い?」 と聞いてきた。
佳奈は、思わず顔をほころばして、「どうぞ」って勢いよく答えていた。
 
2人の話は弾み、レストランで食事をしよう、ということになった。
彼は、やることなすことすべてが、スマートで絵になっていると佳奈は感じていた。
 
「ウエイターと話す時のさりげない仕草、私の目をじっと見つめるあの眼差し、フランス人だから当たり前のことだけれど、何てきれいなフランス語を話すのだろう!」
佳奈の心臓は、バクバクしていた。
「こんな素敵な人と、憧れたパリの街角で一緒に時を過ごせるなんて、夢を見ているようだわ。
そうだ、これは、神様がみじめな私に与えてくださった、いっときの夢なんだ!」
 
佳奈はその時、はしゃぎすぎていて、後で思い返すと、英語で話していたのか、フランス語で話していたのか、よく思い出せなかった。どっちの言葉だろうと、うまく話せないはずなのに。
 
翌日も、彼の仕事の帰りに待ち合わせをして食事をした。
いつも彼がご馳走してくれた。
彼は、コンコルド近くの4つ星ホテルでインテリアの仕事をしている、という。
佳奈より4つ年上の37歳だった。
 
帰国日まで、毎日のように会って食事をして、楽しく話をした。
でも、佳奈には思うことがあった。
 
「おしゃれで、職場も4つ星ホテルで、しかも独身!
でも、間違えちゃいけない、これは、ただの夢。
旅先で誰もが良く見る夢に過ぎない。現実ではないのだ。
こんな幸せが続くわけがない。
日本に帰ったら、二度と会えないだろう。
だからこそ、日本に帰る日まで、このおとぎ話のようなロマンスを楽しもう。 
 
ルーブル美術館近くの公園で、偶然出会ったイケメンの彼。
そしてその日から連日デート。毎日会っていくら話をしても話が尽きない。
会えば会う程もっと彼のことが知りたくなるし、彼の話を聞きたくなる。
 
でも日本に帰ったら、
もう一度自分の人生の計画を、しっかり練り直そう。
どこか就職しながら学校に通い、何か役立ちそうな実力をつけよう。
コンピューターの仕事が良いか、英語やフランス語の仕事が良いか分からないけれど、
女一人でも生きていけるような実力をつけていこう。強い人間になろう」
 
甘ったれで寂しがりや、ロマンチストの佳奈は、必死に自分にそう言い聞かせていた。
 
そして、電話番号とメールアドレスだけを彼に渡して帰国した。

 

 

 

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